2013年10月

2013年10月19日

アマーストを快走する胴長バス、運転手は?



アマーストの紅葉。
今年は、いつものように華やかではない。
原因は、ある日の午後の突風。
イチョウやらカエデやら樫の木の葉が、
「おおう、やっと黄色に、オレンジに…」
というとき、
数時間吹き荒れた風が、
色づき始めた多くの葉を吹き飛ばしてしまった。





紅葉2013





しかしまあ、そんなこともあるだろう。
いちいち目くじらを立てることでもない。
上の写真は、我が家の近くにある大きなカエデ。
毎年、紅葉の季節到来を真っ先に教えてくれる木だ。

さて、話は変わって「バス」のこと。
下の写真に写っている「長〜いバス」だ。
確か、
2020年東京オリンピック決定!にまつわるニュースでも、
“台場会場と都心を結ぶシャトルバス”という話で、
この胴体の長いバスが紹介されていたはず。




ロングバス1




アマーストでは、今年9月から導入された。
そもそも当地のバス網は良くできていて、
なんでも「世界有数」…らしい。
まあ、その“有数”の程度は判然としないけれど、
確かに、非常に使いやすい。
時間通りに運行され、おまけに料金は「無料」だ。
これ、アメリカではとっても珍しいことだ。

では、なぜそんな芸当ができているのか。
その理由は実に明快で、
「そんなバス網が必要だったから」

アマースト周辺には、有名な大学が5つ集まっている。
全米屈指の難関校、アマースト大学をはじめ、
ハンプシャー大学、スミス大学、マウントホリヨーク大学、
そしてマサチューセッツ州立大学(通称、UMass)。
すべて人気のある大学だ。
これらの大学は「ファイブカレッジ」と呼ばれ、
一定の割合で、
互いの大学の授業を受けられる仕組みがある。

で、この5つの大学を学生が行き来するために、
「優れたバス網」が「必要」な訳なのだ。

なかでもUMassは巨大で、学生数は3万人を超える。
そんな多くの学生に、
交通手段として「自家用車」を使われたのではたまらない。
いくら広大な土地の広がる地域でも、
5つの大学を結ぶ幹線道路や、
それぞれの大学のある街に車が溢れる。
そんな「自家用車問題」を避ける必要から、
「優れたバス網」ができあがったわけだ。

バス網の運営には大学が資金をだしている。
運賃が無料なのはそのためだ。
したがって、
本来は(=建前では)“大学生や学校関係者向け”なのだが、
まあそんな硬いこというなよ…、という訳なのだろう、
当然、一般市民も利用している。

で、冒頭に紹介した長い胴体のバスだが、
これって結構運転が難しいのでは…と思うのだが、さて?




ロングバス2交差点




交差点では、上の写真のような具合だ。
2両編成の電車が90度のカーブを曲がるようなもの。
「内輪差やら後方確認やら、運転に気を使うだろうなあ…」
と他人事ながら、あれこれ考えてたら、
車内に下のような、学生アルバイト募集広告が…。




募集広告




「運転手募集。時給:9ドル75セント(約970円)から」
仕事の性格の割には時給が安いのでは?
さらには、
学生アルバイトが公共バスの運転をするという事実。
これなんか、日本では考えられないことでは?
(日本では、間違いなく、あれこれ法規制がある筈)

「でもまあ、胴長バスはやっぱり別なんだろう」
などと思っていたら、まったくそんなことはない。
その数時間後、
胴長バスを楽々と操る、女子学生運転手を目撃した。




運転手




いやはや、逞しい。
というか、アメリカらしい。
というと、あまりにもステレオタイプなものいいになるが、
そうはいっても、やっぱりちょっと驚いた。
東京の郊外でもいい。
そんなところを走る胴長の公共バスの運転手が、大学生。
これって、想像できますか?
腕が良ければ大歓迎!おまけに賢くて低コストだし…
たぶん、それがこの地域の考え方なんだろうなあ。

(飯村和彦)


newyork01double at 02:28|PermalinkComments(0) マサチューセッツ州・Amherst | 世界の風景