NY'90: Coca-ColaとCoke、 50¢と50$NY'90:タクシードライバー物語(2)「後部座席の悪魔」

2005年10月13日

NY'90:タクシードライバー物語(1) 「夢見る移民」



No.2
That’s bullshit.
なんてこったい! ウソつけ! 
たわごと。 ナンセンス。


怒ったり、イライラしたり、約束を破られたり、怒りに似た感情を伴って、「Bullshit!」
街角や映画の中の会話でよく耳にする。



タクシーカラー



タクシードライバー物語(1)「夢見る移民
Roberto de Nyro(ロバート・デ・ニーロ)の「Taxi Driver」は、もう数限りなく何度も何度も観た。
都会の孤独と、孤独であればあるほど増幅される自己の持つエネルギー、
客によって変わる車内の空気とあくまでも普遍であろうとする体内の宇宙、
その宇宙の静けさをかき乱す意識…。

映画の中で、
デ・ニーロがコップにポコンと入れて飲んでいる泡のでる薬はなんだろうと思い、drugstore(薬局)に行ってみたりもした。
「Alka-seltzer」なる胃腸薬で、今でもポピュラーな薬だった。
レモン味とかカゼに効く成分がプラスされたものまであった。なるほど…。

New Yorkの市内を走るyellow cabは1万5000台以上。
ドライバーも4万人以上いるという。
確かに黄色い車がゴチャゴチャと走り回っている。
そして、そのほとんどのドライバーがいわゆる「移民」で、
コロンビア、パキスタン、プエルトリコ、エジプト…と出身国もさまざま。
みんなアメリカで一旗上げるためにやってきた連中だ。

現在、彼らのような夢見る移民にとって、
この街で経済的に独立していくための「簡単な…」方法は、
タクシードライバーになって、その営業権を獲得すること。
言い換えれば、
その方法しかないといってもいいかもしれない。

ここで「簡単な…」といったのは、「とっかかりやすい」という意味。
運転免許証さえあれば、簡単に…タクシードライバーにはなれる。
しかし、
「夢見る移民」の方々の最終目標は営業権を取得すること。
これには約$130,000(日本円で約2000万円)必要だという。
タクシーの営業にあたっては、
「メダリオン」というタクシー権利証が必要で、
自由に売買できるこの権利証の名義を自分の名前にして初めて「夢」が実現するわけだ。

だが、もともと$130,000もの金を持っている奴ならこの街にはきていない。
権利証の名義を自分の名前にするため、
その営業権を買い取るため、
彼らは朝から晩まで、夜中まで、街を走り続ける。
それで、一日$80〜$100…。

「夢」までの道のりは長い。

だから「先を急ぐ」のか、運転も荒い。
ちょっとしたことで喧しくクラクションを鳴らし、
行く手をさえぎるような車や歩行者がいようものなら、大声でどなる。
街角でよく見かける光景だ。

「Are you crazy?(馬鹿野郎、なにやってんだよ!)」
とタクシードライバー。
「You ran through the red light!(信号は赤だゾ!)」
と歩行者。
「Bullshit!」(くそったれ!)
とタクシードライバー。

乗っているこっちだってイライラしているのに、たまったもんじゃない。
約半分のドライバーたちが最初のひと月で辞めていくという。
「簡単に…」とっかかれる分、現実の厳しさとのギャップも大きいに違いない。
それでも次ぎなる「夢見る移民」たちがタクシードライバーになっていく。

新しくタクシードライバーになりたい人たちのための講座がある。
40時間で、$150だそうだ。
もちろんそこで、英語がままならない彼らに「bullshit」なんていう言葉を教えているわけじゃない。

(飯村和彦)



タクシードア大



newyork01double at 23:13│Comments(0) ニューヨーク | カッコイイ英語

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