東京story:「ダブル」秘話〜言葉〜週末だから!:「胎児の足跡?」

2005年11月09日

NY’90: Abuse(虐待)と猫



No.16
chicken
臆病もの。弱虫。
nuts (=crazy)
気違い。
damn
(超)馬鹿

Ex:
a) Are you chicken?
b) Nobody has ever called me chicken.
(映画:「バック・トゥー・ザ・フューチャー」より)

綺麗な表現ではないが、
アメリカ映画を観ているとしばしば耳にする表現なので…。
Chickenは、あのMichael J. Fox主演の、
「Back to the future」シリーズの中で、
上記のように、象徴的に使用されていたのでご存知の方も多いはず。
Nutsは、気違いで、crazyと同じ意味。
馬鹿はdamn.



トークン地図



Abuse(虐待)と猫
日本で大問題になっている“幼児・幼女虐待(child abuse)。
当然、アメリカでも深刻な問題である。

かつてロサンゼルス市警の取材をしていたとき、
1日に何人もの子どもたちが、
警察によって保護されてくるのを目撃した。
手足にあざをつくり、
恐怖のあまり、ほとんど口がきけなくなっている4歳の少女もいた。

それらのほとんどが、
母親、父親、兄弟などによる虐待だった。
子どもが泣けば殴るし、
ドラッグで錯乱状態に陥っては子どもを蹴り飛ばす。

父親から性的虐待を受けた経験のある少女も、
かなりの数に上っていた。

Abused Child Unit(幼児・幼女虐待担当)の刑事によれば、
虐待される子どもの年齢は低く、
まだ柔らかい子どもの頭を殴ったり蹴ったり…、
それは酷いものだという。
さらに、
虐待そのものが家庭内では発生している場合が多いため、
事件として警察に報告されてこない。
この点も日本の場合と同じである。

幼女の虐待シーンを、
写真やビデオに収めて売買するケースが激増しているのも日本と同じ。
刑事が参考として見せてくれたそれらの写真集は、
残忍きわまりないものだった。

そんな殺伐とした事件の多い状況にあって、
一時、ニューヨークで多発していたのが、ペット泥棒。
ある女性は、スーパーマーケットで買い物をしている隙に、
愛犬が何者かに連れ去られた。

いったいどんな連中が、何の目的でペットをさらっていくのか。
他人の犬や猫を見て、
「かわいい」から連れ去ってしまうなどというのは、
まだ、いい方らしい。
ほとんどが金のためだという。

ペットショップや動物実験を行なっている研究室にもっていくと、
一頭、10ドル程度で買い取ってくれるのだという。
いまでこそ、動物実験については厳しい監視の目があるが、
荒んだ時期にあっては、
ペットは手っ取り早く“現金化”できる“もの”の一つになっていた訳だ。

なかには、人間の子どもの誘拐事件さながらに、
飼い主を脅迫して多額の現金を要求するものまでいた。
10ドルで買い取っていた方も買い取っていた方で、
ろくなもんじゃない。
その10ドルが、
すぐにアルコールやドラッグに変わっていくことを承知の上で、
犬や猫を引き取っていた。



虐待と猫3



私の手元に、
当時、動物実験のあり方について特集記事を組んだ、
「The Village Voice」(新聞)がある。
そこには、動物を“もの”としてしか扱っていない、
証拠写真が掲載されていた。

頭に実験機器を組み込まれている猫の写真。
その目は、絶望と悲しみに満ちている。

盗む方も買い上げる方も、
“damn! (馬鹿)”、“nuts!(気違い)”
このようなことが、もう行なわれていないことを祈るばかりである。

(飯村和彦)





newyork01double at 11:34│Comments(12) ニューヨーク | カッコイイ英語

この記事へのコメント

1. Posted by むーみん@ママ   2005年11月09日 13:57
幼児虐待・動物虐待…
今の私が一番許せないことです!!!
(過去の記事をよろしかったら読んでみてください。7/20)
テレビのニュースで耳にするたびに、憤りを感じます。
子供・動物・老人、弱い物に、なぜそんなことができるのか!
自分では理解できなくても、世界中のあらゆる所でおきています。
生命の大切さは、みな同じはずなのに、
こんなにも簡単に売買されるなんて…。
こうゆう問題は、すべての人が目をそらさず、
見つめ直していかなければいけない問題だと思います!

>むーみん@ママさま
 全くその通りです!
2. Posted by 美花   2005年11月09日 14:49
「虐待」この言葉を聞かない日がないほど、この衝撃的な言葉が世の中に氾濫し浸透てしまった。このこと自体が悲しむべきことですね。
私はシングルマザーとして娘とともに田舎町に暮らしています。娘を守ることが、生きることの意味。それを心に刻んでいられることは本当に幸せだと思います。
生きる喜びを知っている人は、人を喜ばせたいと思うものではないでしょうか?貧困・アルコール・ドラック私の視野から見えないものも沢山ありますが、絶対にしてはいけないこと!許してはいけないこと!
せめてそれらには、毅然と声を上げられる人でありたいと思います。

>美花さま
 毅然とですね。私もそうありたいと思います。

3. Posted by rina   2005年11月09日 17:45
飯村さん、こんばんは。
読んでいて悲しくなってしまいました・・・。
これが現実かと思うと、ため息が出ます。
でも現実をしっかりと見据えないといけないですね><

>rinaさま
 そのようですね。現実はこの文章より更に過酷です。
4. Posted by 元気が出る言葉のプレゼント   2005年11月09日 23:41
飯村さん、こんばんは。お久しぶりです。
ペット泥棒の話は初めて聞きました。
いくら現金化できるといっても、信じられない話です。
豊かな国にこういう裏側があるんだという事実も、しっかりと知っておかないといけないですね。

>元気が出る言葉のプレゼントさま
 貧富の差、教育の問題が大きいですね。
5. Posted by 小鳥ちゃん   2005年11月10日 07:02
飯村さま

いつも楽しみに読んでます。記事の内容もさることながら、イイ感じの写真がたくさんあって、うらやましいです・・・

ところで、一番上のところに「馬鹿はdamn」とありますが、「のろまなおばかさん」は「dumb」では? 「damn」は、「こんちくしょう!」とか、「しまった!」とか、「すんごく」、「超〜」という意味ではないでしょうか。

>小鳥ちゃん様
 なるほど。ということは、妻が私にdamnと言うときは、
 「超馬鹿者」という意味なのですね。ただごとじゃないな(笑)。
ブログの方にも「超」を加えておきます。
 
6. Posted by TAKO母   2005年11月10日 09:39
悲しいことですね・・・・。
ちょっと・・・この記事の「虐待」とは違うかもしれないけど
まだ娘が小さい時・・・とてもよく泣く子でした。
抱いていないと泣く・・・・。。
初めての子供だったうえ 赤ちゃんの扱いが苦手なタイプだった私は・・・どうしていいか分からなくて・・・
ちょっとストレスをためて 「子供がかわいくない」時もありました。
7. Posted by TAKO母   2005年11月10日 09:39
続きです!!

・・・抱いているわが子をこのまま落としてしまおうか・・・
そんな衝動にかられはするけど・・・・「はっ」 と我に返った時
「何てことをしてしまったんだ!」と後悔する!・・・・。。。
と・・・・行動を思いとどまったり・・・・。
なので・・・「虐待」と聞いて「絶対よくない」とは思いますが
ある意味 気持ちがまったくわからないわけでもない!のです。
そんな 追い詰められた母親の気持ちをちょっとでも
救ってもらえるものがあると・・・・ほんのちょっと「虐待」
も減るのかも・・。私は旦那にあたり・・それを受け止めて
くれる人だったので・・・・。よかったのかもしれません。

動物の虐待は・・・・論外ですね!!かわいそうですね!!
8. Posted by ロコモーション@ミミ   2005年11月10日 12:10
心がふるえています。弱いものを虐待するなんて論外です。
数年前に実験動物を救済しようと署名運動があり、私も
賛同し、同僚に持ちかけたところケンモホロロに断られました。関係ないからという言葉を聞いて、心が冷える思いだったのを今でも覚えています。無関心という罪もあるんだと
思います。一人一人が胸の内に自覚を持って生きていけば
いつかはこのような悲しいことも少なくなっていくはず、
私はもう少しだけ人間を信じていこうと考えて、こういう
場所があるたびに声をかけ続けていくつもりです。

>ロコモーション@ミミさま
 仰るとおりです。みんなの目が大切ですね。
9. Posted by chiemi   2005年11月10日 16:50
おッ、英語!っと思い、此処で英語の勉強をしている私。大好きなカテゴリー。何時もの一口英語のメモ用紙を取り出し、既に勉強体制!
でも、今日のは書けない。涙が出てきます。弱いものは自然淘汰。。確かに自然界では普通にある事かも知れないけど、意識してなされるわけではない。
責めて自分で出来る優しさをいっぱい持とう。いぢわるな気持ちを恥ずかしく思おう。
10. Posted by りんりん   2005年11月10日 22:09
知りたくない現実、知らなくてはならない現実ですね。
11. Posted by りんりん   2005年11月10日 22:11
追伸・・・
何年か前に動物愛護団体の作ったビデオを見ました。
途中で吐いてしまいそうでした。

>りんりんさま
 見たくないけど、知っていないといけないことですね。
 辛い!
12. Posted by 飯村和彦   2005年11月11日 10:23
>TAKO母さま
 初めての子育てのときには、濃淡はあるにしても、
 似たような心理状態に陥るものだと思います。
 私にも同じような経験があります。
 泣きやまない息子を抱えていて、
 思い切り「振り回したい」衝動に駆られたり。
 けれども、「なに」かがそれを押しとどめました。
 今でも、その「何か」が何であるかは判然としませんが、
 振り返ってみると、その「何か」を発見するために、
 『ダブル』という本の作成にあたったような気がします。
 「何か」=「自分が子どもの頃の記憶」なのか…。
 まだまだ、分からないことばかりです。

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