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2005年12月06日

NY story:未来への荷物




地下1



信じられない光景だった。
放って置いた自分がいけないのは確かだが、
放って置かれた荷物も、
その存在価値をアピールできなかった意味では、
同罪だ。

…などと戯れている暇はなかった。

地下室にあった荷物は、
ダンボール箱だけで約60個。
それをいちいち(当然なのだが…)開封して、
内容物の未来を決めていく。



地下2



つまり、ちょっと大袈裟な言い方をすれば、
それらのものたちが、
「自分の未来」に必要かどうか…、
という判断を下す訳である。

よりて、それなりに気合も入る。
15年前に書いた膨大な量のテレビ「構成原稿」に未来はあるのか?
メキシコの砂漠で拾われた「牛の頭蓋骨」に未来はあるのか?
革命期のハイチで買った動物画はどうか?
サラトガ競馬場(NY州北部にある)で買った1991年版ポスターが、
果たして、自分の未来に必要なのか?

自分の持ち物を整理するという行為は、
自分自身を削る行為に他ならない。
やっぱり、大変なのだ。



倉庫前



子犬



結局、
3日かけて、荷物を約5分の1の量にした。
生き残った荷物、
つまり、「自分の未来にまだ必要だ」と判断したものは、
近くの貸し倉庫へ移した。



倉庫のロビー



ロッカー並び



4階建てのビル。
24時間セキュリティの近代的な倉庫である。
果たして、
砂漠で拾った牛の頭蓋骨に、
「24時間監視」する価値があるかどうかは不明だが、
まあ、いいだろう。
人それぞれ、価値観は違う。



青年たち



運送業者の青年ふたりが、
全ての荷物を倉庫に運び入れ終えたのは、
作業開始から約5時間後。
一応ではあるが…、
未来を保障された「自分自身」が、うずたかく積まれた。
再評価されるまで、あと何年ここで眠ることになるのやら…。

(飯村和彦)






newyork01double at 23:59│Comments(4) ニューヨーク 

この記事へのコメント

1. Posted by ilovedesign   2005年12月08日 11:48
なんと!引っ越しもやられたのですか!大変でしたね〜。私の荷物もブルックリンの貸し倉庫に入ってます。場所によって値段も違うので、マンハッタンよりは割安でした。今思うと、もっと時間があれば、もっと整理してあのゴミを半年も金だして取っておかなくても良かったのかも。。と思ったりするのだが、いかんせん時間がなかった。^^T 業者も使わず、旦那は台湾で。(泣) 今日は新しいアパートの契約書にサインし、鍵をもらいました。新しい生活のスタートはいつも不安と興奮。;p
2. Posted by 飯村和彦   2005年12月08日 15:14
>ilovedesignさま
そうなのです。10年以上放っておいた荷物の整理に追われたのでした。ブログの方にも書きましたが、まさに「自分自身」なのですね、荷物は。それぞれに思い出もあるし、その時々は「意味のある」ものだった訳ですから。
さて、「鍵」を受け取ったのですね。あの瞬間、いつもわくわくしますよね。部屋の鍵って、ある時、自分自身さえも「制御」しますからね。
3. Posted by アキラ   2005年12月09日 02:52
「自分の持ち物を整理するという行為は、自分自身を削る行為に他ならない。」という一文に、眼から鱗的気分になりました。
なかなか物を捨てられない僕にとっては、まだまだ何かをそぎ落とせていないな、と思ったりです(笑。
ひとつの行動はやはり何かしらの心理的要素が絡んでいるなと思いました。
「風が止んだ日」ありがとうございます。
飯村さんの中でこの体験がきっと何かしらの「核」になっているのではと思いました。
4. Posted by 飯村和彦   2005年12月09日 04:00
>アキラさま
まさに「身を切る思い」で荷物を処分しました(笑)。
ところで、
「風が止んだ日」を読んで頂き、誠にありがとうございました。
そうですね、あの事件は、私自身の以後の人生の中で確かに大きな「核」になっています。ひとつの「偶然」が、人生の向かっている方向を変えることがある、そう実感しています。そんな偶然に遭遇したら、その偶然が例え最悪のものであっても、人間はそれに付いていくしかないのだと思っています。

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