NY’90:頑張れ!浅田真央さん血が足りない! クリスマス風景

2005年12月22日

NY’90:韓国財閥、御曹司の苦悩



No.26
Hang loose.(=Take it easy.)
楽にしろよ。
気楽にな!


主に男性が使う表現。
例えば、自宅に知人や友人を招いたとしよう。
初めて招かれた方にしてみれば、
やはり、気を使うというもの。
どど〜ん!とソファーなどが置いてあったりすると、
さて、どこに座ったらいいのやら…と落ち着かない。
そんなときに、
「Hang loose.(気楽にな…)」



メト・ライフ



韓国財閥、御曹司の苦悩

ある年の夏のこと。
ニューヨーク大学(NYU)にいっていた知人とふたり、
韓国人の友人、Dong Ming(ドン・ミン)君の家を訪ねた。
彼は、
14代続く韓国財閥の御曹司で19歳。
フィラデルフィアにある大学へ留学するための準備として、
NYUで語学を学んでいた。

正確には、「彼の家」というよりも、
「彼が住んでいた家」とした方がいい。
韓国で貿易商を営む彼の父親が、
ドン・ミン君を、
ニューヨークに住むアメリカ人の知人の家に預けていたのだ。

その家がもの凄かった。
まさに「豪邸」で、
広さ、たたずまい、周囲の環境…、
その全ては、
一見、パーフェクトだった。

場所は、マンハッタン34丁目にあるPenn Stationから、
電車で約40分。
高級住宅が立ち並ぶ、
Great Neckの「Kings Point」なるところ。



メトロ電車



あたりには緑が多く、
舗装されていない土の私道を流れる空気は、
日本でいう奥軽井沢の、
静かでしっとりとしたあの空気に似ていた。

きちんと刈り込まれた豪邸の芝生の庭には、
「8コース、25メートル」のプールがあり、
行儀良く植え込まれた季節の花が、
そのプールの水の青によく映えていた。

茶色で統一された家の中には、
羊皮でできた、ゆったりとしたソファーが並べられ、
50インチほどのテレビが置かれた書斎は、
そのテレビの大きさがまったく感じられない広さ。

ありとあらゆるものが、
家人の希望通りに全て整っているという感じで、
3階のプレールームには、
正規の大きさのビリヤード台、ピンポン、
おまけに、ゲームセンターなどでよく見かける、
「ホッケーゲーム」まで並んでいた。

こんな素晴らしい家で勉学にいそしんでいる、
韓国からの御曹司、ドン・ミン君。
さぞや心地よい日々を送っているのだろうと思いきや、
いささか様子が変…。

あれほど、「遊びに来て下さいよ!」と、
我々を誘っていたにも係わらず、
家の主が帰宅するや否や、
途端にそわそわし始めた。

我々を紹介する言葉にも窮するほどで、
見ていて、こちらが心配するほどだった。

「なんでも好きに使って、気楽にやってよ」

と、その御主人様に言われた我々も、
まったく気楽になれない。
別に、その人が悪いという訳ではないのだが、
どこか、品定めをされているようで、
居心地が悪いのだ。

「夕食をしていってネ」

という奥様の誘いもこの上なく重く苦しく感じられ、
そそくさと退散したい気分に駆られたほど。

しかし、それではあまりにも失礼。
ということで、
1時間ほど「外」で時間を潰し、
改めて、“お誘い”を受けた夕食のテーブルについた。

ところが、この夕食に驚かされた。
重厚なダイニングテーブルの上に載っていたのは、
「出前ピザ」と、粉ミルクならぬ「粉紅茶」
おまけにその「出前ピザ」は、
トッピングなしのプレーンピザときた。
大抵の場合、ご愛嬌でも、
サラミのひとつぐらいはのっているものじゃないか?

これが、「夕食をしてらっしゃい」と誘った大富豪が、
人に差し出す食事なのか…
と思いつつも、
そこは慎み深い日本人、
ドン・ミン君の立場を考えて“おいしそう”に食べては見せた。

さらにこのご夫婦、
自分たちは、「外で夕食をとるから」との言葉を残して、
さっさと外出していった。

預かっている猫とその猫の友達に「エサ」を与える…

人を悪く表現するのは好きではないが、
そんな気分になったのは間違いない。
ドン・ミン君もとんだ家に預けられたものだ。

「Hung loose.(気楽にな!)」

といわれても、
気楽な気分になれるとは限らない。
豪邸がなんだ?
ビリヤード台がなんだ?
プールの青い水がどうした?

(飯村和彦)






newyork01double at 11:52│Comments(14) ニューヨーク | カッコイイ英語

この記事へのコメント

1. Posted by 小鳥ちゃん   2005年12月22日 15:31
あああ、悲しいけれどありがちなお話ですね。
こちらの方は、「若い子はピザが好きだから」なんて
短絡的な理由で出前ピザを頼んだだけかもしれない。
でもトッピングない(粉紅茶なんて聞いたことないです!)のはチョット・・・

高校時代にホームステイしていたとき、毎晩ハンバーガーでしたが、子供だったので苦ではありませんでした。(家族の人も一緒に食べてたし。)
だけど、同時期に別の家庭でホームステイしていた子は、
ベビーシッターとして体よく扱われ、
食事もあまり与えてもらえなかったそうで
いつも自分でファストフードとかを買ってたそうです。

こういう話があるので、あまり確認せずにホームステイやよその家庭に預けるってのは、経験上お勧めできないですね・・・
2. Posted by tamami   2005年12月22日 16:00
私も十代の時にホームステイした所でも毎日ファーストフード店の食べ物ばかりでした。しかもそこの家はラティーノ家族だったため、タコベルばかり。たまに映画館に連れていってくれましたが、ずるしてただで入ったり・・・ジャネットジャクソンのコンサートもそうやって見ました・・・
友達はドン・ミン君ほどではないでしょうけどもの凄い豪邸にホームステイしたらしいのですが、やはりファーストフードが主だったようです。
しかし、アメリカではよくある話のようですね。
3. Posted by hono   2005年12月22日 16:40
支払われた料金以上のサービス以外はしないアメリカ。サービスはTipですのもね・・・
私はいわゆるホームステイというのをしたことがないので、体験がないけど、私の友達の「笑える」痛いお話はよく聞きます。
友達がホームステイ先で頭痛で具合悪そうにしていたら、tylenolをくれた、ホストマザー。で、翌月、その2錠分がちゃんとrentに含まれていたそうで・・・まあ、慣れてしまえば、こんなものだよねーと思うから、笑えるけど、初めて海外で暮らす日本人にはまさにカルチャーショック。偽善のsmileで、billを数える。「それがBusinessでしょ?」「無償の親切を望むのは日本人の甘え」は、私のルームメイト、ミッシェル@from香港のお言葉。ハイ、私のアメリカに来て、それを知りました・・・
4. Posted by やっとこ   2005年12月22日 20:25

やっぱり、不思議なもので、人の心は
伝わるものですよね・・・

粗末な家や食事でも、温かな笑顔がある
仲間との語らいがありがたいですね^^
5. Posted by chiemi   2005年12月23日 03:24
ホストは、お仕事ですものね。随分儲かると知人から聞いた事があります。特に日本人は、綺麗にしますし、お金払いが良いので、人気だそうです。
私の友達は、その家の娘さんの部屋に泊まっていたそうです。ゲストルームが無くても、文句を言わない日本人。ビジネスを割り切れない日本人。だからこそ、良いところもあるんだけど・・・その関係が、両国のトップの関係だと、、、、、、、
6. Posted by さんぱつや   2005年12月23日 04:04
そりゃそわそわしちゃうでしょうね。
だけど、家の人にとっても、
「夕食をしてらっしゃい」という誘いは社交辞令だったのかもしれないですね。

Hang looseという表現はなんとなくいいですね。
Take it easyよりくだけた表現なのでしょうか?
7. Posted by 飯村和彦   2005年12月23日 10:37
>小鳥ちゃんさま
ホームステイするときには、
やっぱり、確認の上に確認なんですね。
ちなみに「粉紅茶」
これがあるんです。
粉末状の紅茶を水に溶いて、あっという間に出来上がり…。
けれど、はなはだ不味い!
8. Posted by 飯村和彦   2005年12月23日 10:39
>tamamiさま
よくあるのでしょうね。
たった一度、たった一人の知人のステイ先を訪れただけで、
その有様なのですから。
9. Posted by 飯村和彦   2005年12月23日 10:42
>hono さま
「tip」の世界のアメリカでも、
「良心」というものがあるはずで、
残念ながら、それをドン・ミン君のステイ先では、
ほとんと感じられなかったですね。
なぜかなあ…。
おまけに、ドン・ミン君の場合、
ビジネスで学生(=ドン・ミン君)を預かっていた訳ではないし。
10. Posted by 飯村和彦   2005年12月23日 10:44
>やっとこさま
粗末でも、心がこもっていればいいですよね。
であれば、訪ねた方も心地よいもの…。
おっしゃる通り、
心は、「伝わる」ものでしょうから。
11. Posted by 飯村和彦   2005年12月23日 10:49
>chiemi さま
これが、はじめから「ビジネス」で割り切られている関係であれば、双方、必要なことがあれば意見もいえるのでしょうが、悲しいかな、
形ばかりの「善意」の上に成り立ってしまっている場合は、
相当、厳しい。
それが、ドン・ミン君のような「少年」のケースでは、なおのこと辛い気がしましたね。

12. Posted by 飯村和彦   2005年12月23日 10:55
>さんぱつやさま
私の印象では、「社交辞令」ではなかったですね。
その意味では、一応まともなのです。
問題は、まともさの「質」にあるのでしょうね。
人(…特に少年。まあ、私たちは知人ともども、30歳前後の大人でしたが)を上から見下すような態度は、やはり考えもの…。
ところで、「hung loose」は、くだけた表現ですね。男同士の会話でよく耳にします。
13. Posted by アキラ   2005年12月23日 23:01
お写真はグランドセントラルのあたりでしょうか。
ミッドタウンの空をなんとなく見上げてしまう感じが伝わってくるようです。
あと、生牡蠣をちょっと思い出したり。
御曹司の苦悩を読んで、ふとフィッツジエラルドのことを思い出してしまいました。
きっとこういうお話はマンハッタンによく似合うのかもしれませんね。
LAだとちょっと意味が違ってくるような気がします。
NYはやはり好きな場所で、冬の鮮烈な空の青さを思い出しました。
14. Posted by 飯村和彦   2005年12月24日 00:08
>アキラさま
グランドセントラル駅の「牡蠣」、
結構食べましたよ。
あと、「貝」
名前は失念しましたが、これもガツガツ食べました。
すみません、食べものの話になってます…。
しかし、
この衝動に勝てるもの、ありませんでした。

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