サッカーW杯
2006年07月09日
あなたにとって「世の中」とは?
何気なく使う言葉である。
「世の中」。
世間、社会、世界…
色々な意味を含有している言葉だが、
良く考えてみると、
「世の中」という言葉ぐらい、
曖昧なものはない。
なぜかといえば、
その言葉を発している人によって、
「世の中」というものに対する、
認識が違うから。
自分自身が、
「世に中には色々なことがある」
といったときの「世の中」は、
“自分がそう思っている、知っている”…「世の中」でしかない。
それは、
自分以外の人たちが「世の中」だと思っているものとは、
似ているようで、実はまったく違うはず。
ところが、
「世の中、そんなに甘くない!」
などと、平気で他人にいってのける人たちがいる。
その人が生きている「世の中」と、
自分も含めた、その人以外の人たちが生きている「世の中」が、
同じものだと勝手に解釈しているから、
無分別にそんな発言をする訳だ。
例えば、最近話題の中田英寿選手の引退に関して…。
「サッカーを止めたら、ただの“あんちゃん”でしょ」
「世の中、そう甘くないですからね…」
と、あるテレビ番組でいってのけた人物がいた。
漫画家の「やくみつる」さんである。
公共の電波に乗せた発言だから、その言葉には責任がある。
彼が、
何をもって「世の中」を規定しているのか知りたいものだ。
サッカーの世界は「世の中」ではないのか?
29年間生きてきた人間、
10年間、日の丸を背負って闘った人間、
そんな人物に対して、
どんな根拠があって“ただのあんちゃん”であるとか、
“世の中、そんなに甘くない”などとコメントができるのか…。
「あなたは29歳のとき、ただの“あんちゃん”でしたか?」
「そもそも、ただの“あんちゃん”とはどんな人ですか?」
「あなたは日の丸を背負って闘った経験がありますか?」
「あなたは私の“世の中”をどれほど知っているのですか?」
「あなたの“世の中”は、
私の“世の中”より優れた“世の中”なのですか?」
……………
もし自分が、中田選手の立場であったら、
言いたいことは沢山ある。
やくみつるさんの発言は、
あまりにも私的であり、且つ稚拙で思慮がない。
気の合った仲間と、
酒でも飲みながら馬鹿話をしているのならまだしも、
公共性の高いテレビ番組での発言である。
許されるべきものではない。
百歩譲って、
これが「好き嫌い」レベルの話であれば、まだいい。
私自身、特に中田選手が好きな訳でもない。
けれども、やくさんのコメントは、
人の人生や生き様を、
根拠も無く否定するような発言であったから問題なのだ。
“個人の発言については、あれこれ言わない”
それが、このブログのポリシーだが、
“テレビでの発言”は、
何百万もの人が見聞きするという意味で、
極めて公共性が高い。
特に中田選手の引退に関しては、
多くの子供たちも関心をもっている。
だから、個人のコメントであっても、
「公の発言」と捉え、
あえてここで取り上げた。
また、
あのような発言を許していると、
テレビ自体が視聴者から相手にされなくなる。
ある人物の生きてきた世界を知らずに、
その人生を出来るだけ理解しようとする努力もせずに、
上っ面の知識だけでコメントする。
情けない話だ。
中田選手がマスコミ不信に陥るのも無理もない。
そんな発言が、大手を振って“跋扈”している訳だから。
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(飯村和彦)
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