マーク・スピッツ

2005年12月21日

NY’90:頑張れ!浅田真央さん



No.25
a fat chance
まず無理。
まあ、そうはならない
ほとんど、見込みがない。


Ex: He has a fat chance of winning.
(彼が勝つ見込みはない)

先々、実現する可能性がほとんどない…という意味あい。
「fat」(=太った、脂っこい、ふくれた、分厚い…)
という言葉の意味からすると、
なんとなく逆の意味のように思えるが、
「a fat chance」は、反語的に使用される。
“将来の夢”のほか、一般的に“可能性がない”
ということを表現したいとき、
是非、使って!



雪
(撮影:息子)



頑張れ!浅田真央さん

フィギュアスケートのグランプリ決勝大会。
「くるみ割り人形」の曲にのり、
氷上の「天使」となった彼女。

しかし、
来年2月のトリノ冬季オリンピックには、
年齢制限のため、出場資格がないのだという。
まあ、このことはみんなご存知のはずだ。

体ができあがっていない時期から、
難易度の高い技を練習すると、
幼い体に負担がかかり、
悪影響のでる可能性があるからだそうだ。

一理ある。

体操もそうだが、
ここ数年、
世界のトップレベルで活躍している女子選手の多くは、
「子供に近い少女」…、といってもいいかもしれない。

柔らかい体をもつ彼らの方が、
大人よりも、
難しい技を習得しやすいから…とも聞く。

しかし、
「技」が全てでもないだろうとも思う。
大技を完璧に決めても、
見ていて、ときに物足りなさを感じるのは、
私だけではないだろう。

もちろん、これは一般論で、
浅田真央さんについていっている訳ではない。

当然のことだが、
優秀な大人の選手には、
成熟した美しさがある。
これは、「技」を越えた「芸術」だと考える。

オリンピックで、
この芸術性が考慮されていないとは言わない。
採点に大きく係わってくることも知っている。
しかし…だ。
そうはいっても、
難易度の高い「大技」の方に、
より比重が置かれているのは間違いないだろう。

そこで、あえて言いたいのは、
年齢制限が、医学的な見地から導入されたのであれば、
それを徹底的に守って欲しいということ。

オリンピックがダメなのに、
世界選手権を除く、他の国際大会には出場できる…
というのでは納得がいかない。
本当に幼い選手の体を気遣っての規定であれば、
とことん子供を守って欲しい。



ピース顔(撮影・息子)



さて、浅田さんの場合とは逆に、
かつて、40歳の男が、
夢よ、もう一度!
…とばかりにオリンピックに再挑戦したことがあった。

男の名前は、マーク・スピッツ(Mark Spitz)。

彼は、1972年のミュンヘン五輪で、
出場した競泳7種目すべてで、金メダルを獲得した、
水泳界の「英雄」である。
ゴールインするたびに両手を高々と上げ、
観衆の声援に応えていた彼の姿を、
記憶している方も多い筈。

そんな彼が、1990年、
突然、その2年後のバルセロナ五輪(1992年)に出場すべく、
猛特訓を開始したのだ。
年齢は40歳。
自宅近くのロサンゼルスのプールで、
自分の半分ほどの年齢の選手たちに混ざって、
きつい練習を続ける彼の表情は真剣そのものだったが、
その姿は、痛々しくもあった。

He has a fat chance of winning.
(彼が勝つ見込みはない)

代表選考会を兼ねた競技大会に出場する彼に対し、
全米メディアはそう伝えていた。

7つの金メダルをとり、
地位や名誉ばかりではなく、
信じがたいほどの富をも得たマーク・スピッツ。
そんな彼が、なぜ…。
その理由を、マーク自身はこう語っていた。

「自分の人生において、もう一度、
それまで誰も成し得なかったことをやりたいだけだ」

一度、偉業をやってのけた人間にしか分からない、
凡人には推し量れない、
「決意」だったのだろう。
狙いは、「100mバタフライのみ」だともいった。

さて、その結果はどうだったのか…。

彼自身の決意むなしく、
マーク・スピッツは、予選会で沈んだ。

そこで、一つ考えたことがあった。
惨敗の理由だ。

40歳という体力的な面もさることながら、
偉業を達成する上で、
能力以外に不可欠な「運」を、
彼は、
既に使い果たしていたのかもしれない…と。

(飯村和彦)






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