メープル

2019年02月27日

地球温暖化がメープルシロップに与える影響とは?



メープルシロップ作り、シーズン到来!
日中は幾分暖かく、朝晩は必ず氷点下になる天候。
具体的には夜間はマイナス4℃以下。
昼間は4〜9℃、これ以上暖かくてもいけない。
そんな寒暖差のある気候条件が続く3月から4月の約2ヶ月間しか、
木から樹液を吸い出せない。
だからメープルシロップ作りはこの時期にしかできない。

訪れたのはマサチューセッツ州、ウェストハンプトン。
アメリカ北東部、「ニューイングランド地方」と呼ばれる地域にある。




古い小屋ロング
(メープルの樹液を濃縮させる小屋 /photo:kazuhiko iimura)



メープルシロップ入りバケツaaa
(メープルの樹液 /photo:kazuhiko iimura)




樹液は透明で、糖分は約2%。
それを糖分が約66%になるまで特性ボイラーで熱する(水を飛ばして濃縮させる)とメープルシロップができあがる。
(パンケーキには必須。ブルーベリー+ヨーグルト+メープルシロップの組み合わせなんかも良いですね)

では、どのようにしてメープルの樹液を集めるのか。
そこには自然を相手にした知恵と工夫がある。

使用されるのは真空ポンプ。
樹液がとれる大きさ(太さ)のメープルの木同士を細いチューブでつなぎ、真空ポンプに繋げて樹液を集めるのだという。これは「木の内部」と「外の大気」の圧力差を利用した方法で、「木の内部」の圧力が「外の大気」より大きいと樹皮に空けた小さな採取用の穴から自然に樹液が流れでる訳だ。
だから樹液をとる時期の気候(前述した気温の他、気圧や風向も…)も大切になる。

採取した樹液からシロップをつくる方法はどの生産者もだいたい同じだが、施設はまちまち。
年代モノの重厚なボイラーを使っているところ、最新式の設備を導入しているところ。
事業規模(商売の上手い下手)によって違ってくるのでしょう。




パンケーキaaa
(photo:kazuhiko iimura)



古い機械aaa
(樹液を熱で濃縮させる旧型ボイラー /photo:kazuhiko iimura)



新しい機械ロングaaa
(最新式設備を導入している生産者 /photo:kazuhiko iimura)



燃える薪 新しい機械aaa
(photo:kazzuhiko iimura)




ただ一口で「事業」といっても、
メープルシロップ用にメープルの木(主にシュガーメープルという種類)だけを植林した森をつくる…なんてことはしないという。上手くいかないらしい。

だから自分の土地だけじゃなく、他人の土地の木からも樹液を得る契約を結ぶのだそう。
この時期になると、あちこちのメープルの木とシロップ製造施設(小屋)を結ぶ細長いチューブが登場するのはそんな訳からだ。
まったくもって手間のかかる仕事だ。




メープルの木aaa
(シュガーメープル/photo:kazuhiko iimura)



木へ差込アップaaa
(photo:kazuhiko iimura)




けれども自然を相手にするということはそういうことなのでしょう。
樹齢何十年のメープルに、冬の終わりの約2ヶ月間だけお世話になる。そんな感じだ。

よって生産者のみなさんにとっては、
「地球温暖化」による気候変動の影響が心配の種。
何十年もの長きに渡り、気候と向き合ってきた彼らには、
環境の変化が良くわかるのだ。


「気候変動」と「日々の天気」の違いが理解できず、
寒波がくるたびに、
「地球温暖化なんて存在してない!」
と叫ぶトランプ大統領とは大違い。



気候変動は、メープルシロップ生産者にとっては死活問題になる。
先に書いたように、
一定の気候条件じゃないとメープルの木から樹液がとれない訳だから。
十分な寒暖差がないと樹液の糖度が低くなる…等々の理由からだ。
すると当然、シロップはつくれない。

事実、2年前は暖冬だったから生産量がガクンと落ちたとのこと。




スティーブさん2aaa
(スティーブさん /photo:kazuhiko iimura)



メープル年輪aaa
(メープル断面。中ほどには樹液採取用に一時期空けていた穴 /photo:kzuhiko iimura)



昔のスティーブさんたち
(昔のスティーブさんたち)



こどもの頃からシロップ作りをしてきたスティーブさんは、
「このまま温暖化が進むと、ニューイングランド地方(アメリカ北東部辺り)ではメープルシロップをつくれくなる…」と、先々を心配。
でも、「この仕事が大好きだから」といっては、メープルシロップ作りについて、それはそれは丁寧に教えてくれたのでした。


(飯村和彦)


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