人種

2007年03月18日

白人夫婦から黒人の赤ちゃんが…



No.37
Go to pieces
精神的にズタズタになる

Ex: She must have gone to pieces.
精神的にズタズタだったに違いない

家族や友人の死、病気、
また、
仕事や人間関係の悩み、悲しみ…などが原因で、
精神的に参る、弱る…という意味の表現。



セカンドアベニュー



白人夫婦から黒人の赤ちゃんが!


アメリカに住んでいたときの話である。
ニューヨーク在住のある白人女性が、
黒人の赤ちゃんを産んだ。
ところが、
彼女の夫は白人。
普通に考えれば、
黒人の子が産まれるはずはない。

ことの次第はこうなる。
その白人女性の夫はガンを宣告され、
死と闘っていた。
しかし、ふたりはどうしても子供が欲しかった。

抗がん剤治療をした後だと、
生まれてくる子供に、
何らかの悪影響がでる恐れがあると考えた夫は、
抗がん剤治療の前に、
自分の精子を“精子銀行(sperm bank)”に預けた。

一方、妻の方は、
夫の生きている間に、
どうしても子供が欲しかった。

そこで妻は、夫と相談して、
体外受精の道を選択。
見事に、ひとりの赤ちゃんを産み落とした。
ところが、
その子が、白人夫婦の間に産まれるはずのない、
黒人の赤ちゃんだったのだ。

自分が産み落とした子を見た瞬間の、
その女性の心中はどんなものだったろう。

She must have gone to pieces.
(精神的にズタズタだったに違いない)

しかし、この夫婦は、
すぐに、生まれてきた赤ちゃんに寄り添った。
ふたりは、その子を、
“自分たちの赤ちゃん”として育てはじめた。

その数ヵ月後、
夫は、治療の甲斐なくこの世を去った。
「人生の最後に、
自分の子供と生活できて幸せだった」
それが、亡くなる前の夫の言葉だった。



自転車



では、その一方、
精子銀行側は、なんと主張していたのか?

「私たち、精子銀行側に落ち度はなかった。
多分、その白人女性が、
夫の闘病中に、
黒人男性と関係をもったに違いない」

これが企業の理屈というものだ。
可能性がある限り、
最後の最後まで、
自分たちの方から非を認めることはしない。
酷い話だ。
生まれてきた命に寄り添えないなら、
生命誕生に係わる仕事をすべきではないのに。



(飯村和彦)


newyork01double at 09:17|PermalinkComments(4)