将棋

2008年01月28日

「聖の青春」



若くしてこの世を去った天才棋士、
村山聖の短い生涯を描いたノンフィクション。
「聖の青春」は、
大崎善生さん(元日本将棋連盟職員)のデビュー作である。



聖の青春


大崎さんの作品は、ほとんど読んでいるが、
それらは全て「小説」であった。
大崎さんが「聖の青春」で作家デビューし、
二作目の「将棋の子」もノンフクションであったことは
勿論知っていたのだが、
なぜか、この二作品をこれまで手にすることはなかった。
理由は単純で、
自分自身が将棋に疎く、将棋への興味も薄かったから。
振り返るに、
最後に将棋を指したのは小学生のときだ。

だから、幾ら素晴らしいといわれていても、
将棋界を舞台にしたノンフィクションには手が伸びなかった。
今にして思えば、もったいないことだった。
食わず嫌い?
やはり、
なじみの薄い領域にこそ目を向けるべきなのである。

今回、
「聖の青春」を(直後には「将棋の子」も)読んだのは、
ある番組の取材で将棋界の重鎮、
加藤一二三九段の話を聞いたのがきっかけである。
加藤九段の将棋にかける意欲というのか、
勝負魂というのか、
そんなあれこれを本人の口から聞いているうちに、
ふと、もう少し将棋界そのものについて知りたくなった。

それで、
その番組を制作したあとに、
大崎さんの本を読んでみたくなったのだ。
本来なら、加藤九段の取材の前に、
将棋界を知る上での一つの方法として、
大崎さんの作品を読むべきだったのだろうが、
まあ、その辺のところは仕方ない。
ものごとへの興味というのは、いつだって少しずつなのだ。


王将


そんな経緯で「聖の青春」を読んだ。
そして、心を激しく揺り動かされた。
これでもかと…。
涙が止まらなかった。
感涙であり、悔し涙…。

純粋さのもつ力なのか、
ひとつのことに全人生をかけられる潔さなのか、
ともかく「聖の青春」の主人公、村山聖には圧倒される。
そして彼を好きにならずにはいられない。
さらに、
彼を支える家族や師匠や仲間。
人を信じ、未来を信じることの崇高さを実感させられる。

是非、ご一読を!
将棋に疎い方でも、
間違いなく心打たれます。


(飯村和彦)


newyork01double at 15:01|PermalinkComments(0)