小雀
2006年07月13日
子スズメが家族になった日…雀の話(上)
予感はあったが、
子スズメが、
あそこまで“人になつく”とは思っていなかった。
2年前の4月。
子スズメは、
娘が公園で見つけた。
生後間もなく、巣から落ちたらしい。
全身産毛に覆われ、羽は小さい。
目も、まだ開いていなかった。
それが、
我が家の「人間」と「ぴ」の出会いだった。
最初、
「ぴ」は、その名の通りピーピー鳴くだけ、
何も口に入れようとはしなかった。
生まれたばかりのスズメだ、まあ当然といえば当然。
そこでまず、
スポイトを使って水を口に含ませることから始めた。
一滴、二滴…。
水が喉を通ったことは、
そのときだけ「ピーピー」の鳴き声が途切れるので確認できた。
とはいっても水だけじゃダメだろう…ということで、
その後、様子を見ながら、
水に“すり潰したご飯粒”を少しずつ混ぜて与え始めた。
それなりに根気のいる作業である。
息子も娘もよく手伝った。
スズメの飼育は難しい。
妻と子供たちは、
近所の動物病院へもいった。
なんといっても野生のスズメだ。
エサはどうしたらいいのか。
上手く生かすことができたら、
その後、どうしたらいいのか。
また、
母鳥の代わりに、
妻は、「ぴ」を自分のお腹で温めてもいた。
柔らかい布で「ぴ」を包み、
シャツとお腹の間に入れるのだ。
ひなは、寒さに弱い…。
これも、獣医に聞いたことだった。
そんな「ぴ」が、
“水につけたご飯粒”を食べられようになったのは、
我が家に来て一週間ほどたった頃。
ちょうど、
目が開いた時期だった。
ピンセットでご飯粒をつまみ、
口を開けたその瞬間を見計らって「ぐいっ!」と…。
喉の下にある、
「さのう」と呼ばれる袋に、
直接入れることが重要。
最初のうちは、
自分から口を開けることのなかった「ぴ」」も、
次第に、
ピンセットで嘴(くちばし)をちょんと叩くと、
パクリと口を開いてエサを求めるようになっていった。
…条件反射。
ここまでくればしめたもので、
その後「ぴ」は、
嬉々としてご飯粒を食べるようになった。
そうこうするうちに、
徐々に足も強くなり、羽も少しだけ大きくなって、
「ぴ」は、スズメらしく(?)、
部屋を跳ね回るようになったのだ。
ともかく、その当時のちょこちょこ跳ねる「ぴ」を見て欲しい!
(↓動画をご覧あれ!)
完全に我が家の一員である。
なるほどなあ…と思ったのは、
「ぴ」が、
ことのほか“銀色のピンセット”が好きだった事実。
エサの用意を始めると、
決まってピンセットにまとわり付いた。
目が開いたとき、
自分にエサを与えていたピンセットを見て、
「ぴ」は、
ピンセットを、
親鳥の嘴とでも思ったのかもしれない。
[つづく…]
(飯村和彦)
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