放射能

2019年03月11日

福島第一原発事故、放射能「汚染水」問題の核心


東日本大震災から8年。
未だに多くの被災者が厳しい生活を強いられている現実に心を痛めるばかり。



福島1
(福島県南相馬市/ photo:kazuhiko iimura)



この間ずっと気になっていることの一つが、
福島第一原発にたまり続ける放射能汚染水の問題。
現状のまま増え続けると、
早ければ今年末には貯蔵タンクを据える場所もなくなり、
約2年後には貯蔵タンクが満杯になってしまうという。

にもかかわらず、
その「放射能汚染水」そのものの浄化レベルも、
これまでずっと発表されてきたレベルと現状とでは、
かなり違っていることが去年、突然明らかになった。

どんなことだったのかをおさらいするため、朝日新聞から。

「東京電力は28日、福島第一原発のタンクにたまる汚染水について、浄化したはずの約89万トンのうち、8割超にあたる約75万トンが放射性物質の放出基準値を上回っていたことを明らかにした。
一部からは基準値の最大約2万倍の濃度が検出されていたという。
今後、追加の処理が避けられなくなり…」
(去年9月29日付)

「保管する大型タンクに入れる前の放射性物質の検査で、トリチウム以外に、ストロンチウム90、ヨウ素129が国の基準値を超えていたことを明らかにした。東電はこれまで『トリチウム以外の放射性物質は除去されている』として、十分な説明をしていなかった。
構内で発生した汚染水は、セシウムを吸着する装置と、62核種を除去する装置『アルプス』を通り、取り除けないトリチウムを含む汚染水がタンクに保管されていると説明されていた」
(去年8月21日付)

つまり、

それまで何年にもわたって行われてきた汚染水処理が、
その浄化レベルにおいて全く別物だったということだ。

こんな話、ないでしょう。

どうして発表が去年の秋になった?
当然、汚染水の放射能レベルは、
当初から数値としては分かっていたはずでしょう?
ならば今はどうなの?

そんなあれこれを見るにつけ、
いかに東電や政府が事実を隠してきたかがわかるというもの。
まあ、安倍政権や東電の隠蔽体質については誰もが知るところだから驚きはしないけれど、
だからといって当然許されない。

さらに福島第一の放射能汚染水の処理に関して思いだされるのは、
処理技術に関してアメリカのピュロライトという会社が、
日本の日立GEニュークリア・エナジーを東京地裁に訴えた(2015年)こと。
訴状におけるピュロライト社の主張は以下の通り。

「日立GEニュークリア・エナジーが、
2011年に両社間で締結した独占的パートナーシップ契約に違反しており、
かつ、福島第一原子力発電所における水処理装置において、
ピュロライトの営業秘密を無断使用している」

誤解を恐れずにいってしまえば、
東電側は当初、
ピュロライト社の技術を中核に放射能汚染水の処理をする約束をしたにもかかわらず、
蓋を開けてみればピュロライト社の技術だけをちゃっかり使いながら、
彼らを契約から外したということ。
(ピュロライト社の技術を得るために日立は、
経済ドラマさながらの手法を使っていたようだが、ここでは省略)

結論からいうと、
最終的に東京地裁はピュロライト社の訴えを退けた(2017年)訳だけど、
法的な解釈はともかく実際には、
東電側が都合よくピュロライト社の「技術だけ」をとった
…という印象は拭えない。

参考までに、
ピュロライト社が実証したという汚染水処理能力は以下のよう。


1)福島第一原発の汚染水に含まれる62種の放射性物質を、検出不能レベルまで除去できる。
これは実際の原子炉敷地内から採取した汚染水を使用した試験によって検証されている。
2)現在の汚染水処理で発生する放射性廃棄物の量を85%超も減らすことができる。
3)高濃度放射能汚染水を貯蔵するタンクの必要性がなくなりる。
4)地下水が原子炉に侵入するのを防ぐ防護壁の必要性が低くなる。


もし、ピュロライト社の技術を中核に据えて、
彼らと一緒に放射能汚染水の処理をしていたらどうなっていたのか。
正直、こればかりは分からない。


けれどもピュロライト社の言い分は間違っていないようにも思える。
曰く、技術だけを抜きだして使ってもうまくいかない。
実証試験通りの結果を出すには、技術そのものだけではなく、
必要な装置・設備の適切な使い方、つまり「運用の仕方」が重要。
その最適解は技術とシステムを開発した当事者が持っている。

果たして東電はどうだったのだろう。
結果を見ればきちんと処理できていなかった訳だから。




福島3
(福島県南相馬市村上海岸/ photo:kazuhiko iimura)




けれど、もう四の五のいっている余裕はない。
長く見積もっても、
数年以内に確実に汚染水をどうにかしないといけない訳なのだから。
「想定外の事故」で貯蔵タンクが壊れ大量の汚染水が海へ…
まさかそんなことを想定している訳じゃないだろうから。



福島2
(福島県南相馬市/ photo:kazuiko iimura)



飯村和彦


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2012年03月28日

福島第一原発と同型「ヤンキー原発」・運転延長反対デモ!



3月22日。
稼動開始から40年が過ぎたヤンキー原発(米国・バーモント州)対して、
その運転延長の反対を求める大規模な抗議デモが行われた。

デモに参加したのは約1000人の市民。
小さな子どもからお年寄りまで、
古い原発の運転継続に強い不安を覚える人たちが、
手に手に、
「ヤンキー原発、運転継続反対!」
「シャットダウン!ヤンキー原発」のプラカードや旗をもって、
およそ3.5マイル(約6キロ)の道のりをデモ行進した。






[filmed by Kazuhiko Iimura]





この日の抗議活動では、
93歳の女性を含む130人が地元警察によって逮捕された。
ただし、
地元警察も、
原発反対運動には一定の理解を示しているため、
この日の「逮捕劇」には、いわば「暗黙の了解」があり、
すべて混乱なく整然と行われ、
逮捕された130人は、後に全員釈放となった。

今年の3月21日で、
稼動開始(1972年)から40年が過ぎたヤンキー原発の、
運転期限延長(20年!)をめぐっては、
ここ数年、
アメリカで大きな議論となっていた。

施設の老朽化が進み、
冷却塔が壊れたり、
放射性物質を含む冷却水が漏れだすなどのトラブルが続出していたのだ。
さらに、ヤンキー原発は、
現在深刻な事態に陥っている福島第一原発と「同型」だった。
(備:同型の原子炉格納容器「マーク1」)

この事実が、
ヤンキー原発周辺住民の不安をいっそう深いものにした。

福島原発第一の事故発生前から、
バーモント州議会は、
原発周辺住民の意思を尊重する形で、去年2月、
ヤンキー原発の運転延長を認めない決定を下していた。

(備:去年2月、バーモント州上院が、
今年3月で期限切れとなる運転免許の更新を否決した。
同州は全米で唯一、
州憲法で原発の稼働への否決権を規定していた)

ところが、
アメリカ原子力規制委員会(NRC)は、去年3月21日、
(東日本大地震による福島第一原発事故発生の直後にあたる)、
20年間の操業延長を許可したのだ。

さらに、去年4月18日、
ヤンキー原発を所有するエンタジー社(電力会社)は、
バーモント州の決定権に異議を唱えて訴訟を起こした。

さて、この裁判で、
アメリカの司法が、どんな判断を下したのかというと…

今年1月19日。
アメリカ連邦地裁は、
エンタジー社の主張を受入れ、
ヤンキー原発の稼働期限延長を認める決定を下した。
40年稼動してきた原発を、
今後さらに20年、運転させるということだ。

「Shut down Yankee Nuke!」

運転反対を叫ぶ大規模なデモが行われた
3月22日は、
ヤンキー原発が期限延長運転に入った第一日目。
今年生まれたばかりの子どもにしてみれば、
彼、または彼女が成人するまで、
老齢の「ヤンキー原発」と共に生きていくことになる。
これって、
どう考えても無理があるだろう。

(飯村和彦)


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