銃社会
2007年04月22日
Kids and Guns…銃社会アメリカ(中)
少年たちの好むGunの傾向は、
最近どんどん小さい型の銃になっている。
『nines』と呼ばれる、
9mmのセミオートマチック銃が人気の的だ。
少年たちに言わせれば、
Tシャツの下でも目立たないこの“nines ”は、
夏用の銃として最適なのだそうだ。
おまけにとっても性能がいいらしい。
だが当然、その分値段も高く、
ストリートでは高値で売買されている。
よって、こんなGunを手にしているのは、
少年たちの中でも『crew』と呼ばれる麻薬や銃のディーラーや、
脅し・恐喝・殺人で金を得ている少年ギャングたち。
真新しいスニーカーを履き、
BMWを乗り回し、
金のネックレスやブレスレットを輝かせ灰色の街を闊歩する。
彼らは、普通の(?) 少年たちの憧れの的だ。
だから、『crew』のメンバーではない少年たちも、
Gunを持ち始めるようになる。
「何でGunが必要かって?
そりゃ他の連中がみんな持ってるからさ。
格好いいし、強くなった気分になる。
それに、いざという時、
殺られる前に自分を守るにはGunしかない」
これが少年たちのごく普通の反応だ。
『crew』のメンバーにしてみれば、
Gunは簡単に金を稼ぐ最高の道具であり、
ケンカや抗争にあっては不可欠な武器だ。
一方、『crew』のメンバーではない少年たちにとっては、
Gunはファッションであり、
架空の力を他人に保持する為の道具でもある。
彼らは、crewの真似をして、
自分が、
『down』( =cool、格好いい)な人間になった錯覚を楽しみ、
時には銃を見せびらかせて、
さもcrewのメンバーであるかのように振舞ったり。
「もし俺に何かしたら、
俺のバックにいるメンバーが黙っちゃいないゾ!」
という風に…。
これも自分の命を守っていく一つの方法だ。
『crew』のメンバーになる為には、
“人前で見ず知らずの人間を撃つ事”が条件である。
すると、「奴は本当にイッちまってる!」という、
『rep』(=reputation:評判の略。
殺人や強盗・麻薬などを評価する時に使われる)
が得られ、crewのメンバーになれる。
では、連中は、どうやって銃を手にするのか。
一つが銃規制の緩やかな州から街に持ち込まれた銃を、
ディーラーを通してStreetで買う方法。
人気の9mm semiautomatic から
Saturday Night Special(小型で少年が最初に手にするような銃) 、
T字型の MET Machingun や 、
AK-47 のような大型の銃までなんでも揃う。
もう一つが、
殺されたり、逮捕された仲間が持っていた銃を回してもらう方法。
こちらも、その種類と量には事欠かない。
これらのGunは、
新品から中古まで様々な値段で売られているが、
基本的に、
何人もの人を殺しているGunは安い。
何故ならその銃を持っていて逮捕された場合、
前の持ち主の殺人まで一緒についてくる事になるからだ。
「Gunはユニホームになっている。
野球をしていた時グローブが必要だったように、
今の彼らにはピストルが必要な訳だ」
これは、あるGunプログラムのカウンセラーの言葉だ。
「彼らの世界では、スニーカーを踏んだだけで、
すぐに銃でパンパンパンという事になってしまう」という。
“口は災いのもと”という言葉があるが、
彼らの間では口はすぐ Gun Shot に繋がる。
相手への罵詈雑言のことを彼らの言葉では『Beef』と呼ぶが、
この『Beef』がすぐに、
「Yo! whachoo doin',Pow Pow Pow …」という事になり、
ゴロリと死体が地面に転がる。
ファッションで銃を持ち、
ラップを聴きながら、
ビルの屋上でネズミを撃って遊んでいるような少年でも、
こう言い放す。
「俺は今まで人に銃を向けた事は無いし、
これから先も向けようとは思わない。
でも、誰かが俺に銃を向けてきたら、
俺は撃つ。
もしそうなったら、
俺の人生がみんな変っちまうだろうから、
考えたくは無いが…」と。
けれども、
こんな少年でも、
実際に銃を人に向けるようになるまでに、
そう時間はかからない。
【つづく】
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(飯村和彦)
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