1Q84
2009年06月15日
村上春樹さんの本「sydney!」
村上春樹さんの新刊、
「1Q84」 が、大変な勢いで増刷を重ねている。
まあ、予想通り。
5年(?)も新刊小説を発表していなかった訳だから…
村上さんの本を残らず(多分)読んでいる自分としては、
読者の心理が分からないでもない。
しかし、だからといって、
一刻も早く「1Q84」を手にしてしたい、
という衝動に駆られる訳でもない。
適当な時期に適宜時間を見つけて、読む。
村上さんの本とは、そんな感じで付き合っている。
さて、
そこできょうは「sydney!」
随分前に村上さんが書いた、シドニーオリンピック観戦記だ。
なんでまた今頃ここで「sydney!」なのかといえば、
文中に、コアラについての興味深い記述があったから。
村上さんらしく、実に丁寧に記している。
以下、若干長くなるがその部分を引用させ貰おう。
「どうしてコアラはそんなによく眠るのか?
気になったから本で調べてみましたよ。
まずだいいちにそれはコアラがいつも食べている
ユーカリの葉っぱに問題があるんです。
ユーカリの葉には一種の毒素が含まれています。
虫に食べられないように自衛しているわけなんだけど、
それをコアラはがつがつ食べちゃうから、
どうしても眠くなってしまうわけだ。
そしてまたユーカリの葉には多くの繊維質がふくまれているんだけど、
それをコアラは自分で消化することができない。
だから体内にバクテリアを飼っていて、
それに繊維質を分解してもらいます。
よくできていますね。
ところがこれにも問題がある。
とにかく時間がかかるんです。
バクテリアがのそのそと仕事をしているあいだ、
コアラは重い胃を抱えた状態のままでいなくてはならない。
牛みたいに地上で生きている大きな動物ならともかく、
コアラのように
樹上で生活している小さな動物にとってはかなり負担になる。
体重が増えると、敏捷性が落ちて、
枝から枝へ移動するのがむずかしくなり、
下手をすると転落しかねない。
だからある程度ダイエットしないと生きていけない。
となると栄養の絶対量は減るから、
行動を制限してエネルギーを減らす必要がある。
というわけでコアラはあまり動かないし、
いつもぐうぐう眠いっている。
だらだらするのにはするだけの理由があったんだ。
〈一部、省略〉
しかしコアラは一日のうちの80パーセントを
睡眠のうちに送っているんだそうです。
いくらなんでもなあ、とは思うけど、しょうがないんだろうな」
というわけで、
村上さんのこの文章のお陰で、
私も私なりに、
コアラに対する見方を一部変えることができた。
感謝である。
しかしここで、
「sydney!」という本について書いているのに、
コアラの部分だけを紹介するものなんなので、
一応、
村上さんの「オリンピック考」についても少々。
村上さんは、あとがきに以下のように記していた。
以下、あとがきの一部を抜粋させて貰おう。
「東京に戻ってきて、
ビデオで録画されたオリンピック中継を見てみたら、
まったく別のものに見えてしまったということだ。
同じひとつのゲームを
違った側面から見たというような生やさしいものではなく、
そもそもぜんぜん違うゲームみたいに見えたのだ。
だからちょっとだけビデオを見て、
あとはまったく見るのをやめてしまった。
そんなものを見ていたら、
僕の頭は混乱して、
何がなんだかわけがわからなくなってしまいそうだった」
村上さんはその事実に「呆然」としてしまったという。
いったいどうして村上さんがそのような心境になったのか。
まあ、それについては、
「わざわざ南半球まで行って実物を見てきた」という、
村上さんの本をお読みになってください。
もちろん、
新刊「1Q84」を読んだ後でもいいですね。
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(飯村和彦)
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